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ギャラリー

珍北海道紀行 ROADSIDE HOKKAIDO

      
 

名寄市北国博物館お知らせ


川地方北部の内陸地方都市、名寄。ここは道内でも寒暖の差の激しい地域で、北海道の中でも冬は比較的寒く、雪も多い地域である。

名寄駅からやや南に下がったところにある、名寄公園の一角に、この北国博物館は存在している。 車で訪問すると、館の手前にSLにつながった車両群の展示がある。



これは、キマロキと呼ばれるもので、「SLキマロキ編成排雪列車」といい、機関車、マックレー車、ロータリー車、機関車の順で連結された排雪列車の頭文字をとったもので、雪の多い地域では本州でも見られたものである。 線路の高い雪の壁ができ、普通のラッセル車では除雪が困難なときに、線路横の雪を削って(マックレー車)、それを遠くにとばす(ロータリー車)という作業で除雪に威力を発揮したものである。 この編成は、全国でもここにしか存在しない貴重なものであり、整備もしっかりされているのだ。 またこのキマロキが保存されているところは、かつで名寄駅から網走方面に伸びていた名寄本線の跡地である。

 

マックレー車は、線路の横の雪壁を切り崩して車両側にいれ、後ろの赤いロータリー車で雪を遠くに跳ね飛ばしていた。 ロータリー車は蒸気機関だったんだね。



SLを見た後は、北国博物館内に進みます。北国博物館ってネーミングは、微妙な感じですが、建物はいたって近代的なものである。 その建物の左側には、フクロウのモニュメントがある。

 

館内に入ると、エントランスの高さを利用した地球の自転を証明したフーコの振り子が出迎えてくれる。北国とは余り展示としては関係ないけど…。

 

展示スペースに向かいます。 やや脱力しそうな、展示室入口。青い光を見ると、北国博物館ってアイスパビリオン系なの???と一瞬ですが錯覚してしまいます。
このトンネルを抜けると、名寄の位置関係と寒い理由などををグローバルな観点から説明している。といっても、決してトホホな感じはないんだけど、このぐらいの緯度だよ〜っていうのが巨大地球模型からわかるようになっている(だけ…)。
マンモスの絵を過ぎると、この地域で見つかった土器や石器、アイヌの展示などがあり、先に進むと、名寄近辺の冬の森をイメージした鹿や冬眠した羆に小熊が乳を飲んでいるという剥製展示に続くのだ。

 

鹿や小動物の剥製による冬の森の展示までは、道内の資料館等でも見かけるありがちな展示でだが、この先の寒さと人の暮らしの展示は、この北国博物館の名乗るにふさわしい展示となる。

 

北海道の雪に対する寒さとの関わり、日々の暮らしに使っていたもの、寒さに打ち勝つべきその戦いと言えば大げさになるのかもしれないのだが、寒さ対策に関する展示が目を引くのだ。 暖を取るための道具展示では、行火、湯たんぽ、ストーブなどが、寒さを防ぐ衣類、外套や、長靴などの履物、毛糸の手袋など、現在のものではく、ひとむかし使われていたものがどこか懐かしい感じがしてしまう。

 

雪を除くためのもの(こういった展示って見たことがなかった)では、木製〜メタルスコップから、木製〜鉄製のママさんダンプ等と模型の除雪列車等、また、雪の上を歩いたり物を運ぶための道具として、スキーやスキー靴、そり、冬用の車のタイヤなどが展示されている これらの展示に横には、それらの道具が使われていた時代の写真が展示されている。

  

そしてこの博物館の目玉と言ったらいいかな?住まいの移り変わりの展示が良い。スペースに限りがあるので大きなものではないが、北国の建物の再現されている。
縄文時代の竪穴式住居から、約500年前からの土間床のアイヌのチセと呼ばれる母屋、囲炉裏の輻射熱を逃がさないような工夫がされている。 明治から昭和前半の塚石の家、木造平屋板張りの家の本州の高温多湿の家を模倣した家で、隙間風が入るつくりで断熱効果はなく、北国の冬には対応していないのが現状で、暖房は囲炉裏や火鉢を使う方法から薪ストーブ、石炭ストーブへと移行していったのだ。

 

昭和後半の布コンクリの家、開拓から1世紀近く過ぎて北国らしい家の改良を加えられた状態で、屋根が、木から金属板へ、壁も板張りからモルタル塗り、基礎も布コンクリとなったり、2重窓、熱を遮る断熱材、ストーブも石油へと変化していっている。しかしこれでも寒さに対して十分ではないんだよね。後者二つは、壁の断面が見え、その変化が面白い。
また写真にはないが、北国にしては当たり前の雪のある街の様子の高度な模型も視覚的に良い。

最後に、郷土コーナーがあり、郷土の天然記念物である、振ると音が鳴る「鈴石」、「高師小僧」と呼ばれる鉱石、アイヌの伝承者「北風磯吉」、大関「名寄岩」の展示がある。



北国の雪とともに住むための歴史が感じ取れる施設。 北国の生活を知らない人には是非見てもらいたい施設なのだ。

2008年10月訪問

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