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ギャラリー

北海道の産業遺産?遺跡? 

      
 

幻の橋を見に行こう!!(東大雪アーチ橋群)お知らせ

 このページは、北海道遺産に認定される前のあまりタウシュベツ川橋梁が有名になっていない頃、2001年初夏の訪問記。その秋2001年10月に北海道遺産「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」に認定されると注目度も上がり、訪問者が大きく増えた。2022年現在とは橋の状態、保存状況が大きく異なる。

 2001年6月9日、前日の石北線の廃止される駅めぐりに続き「おんねゆ」にて車中泊後、早朝出発して前々から見たい見たいと思っていた幻の橋ならびに「ひがし大雪アーチ橋」と呼ばれている橋たちを見に行った。 それらの橋は、かつて国鉄士幌線で使用されていたコンクリート橋である。
  国鉄士幌線は大正14年(1925年)帯広〜士幌間が、そして昭和14年に終点となった十勝三股まで開業した。そして実現は不可能であろう大雪山系を越えて上川まで伸ばそうと夢の鉄道計画もあった。この士幌線は、十勝北部の農業、林業開発に多大な影響をもたらしたが、国道の整備による車社会の到来により昭和63年(1988年)に廃止された。廃止される前には、昭和31年糠平ダムが出来た為に線路の付け替えした。
 十勝三股まで国道が延びると製材工場が移転してしまい、昭和52年、糠平〜十勝三股間の1日平均乗客数は6人となり、ただし上記のように上川までつなげるの夢があるので線路はそのままにしておくという条件で、この区間だけバスの代行運転になった。そしてバスの停留所を2つ増やしたおかげで乗客数はわずかに増えたそうだ。
 コンクリートのアーチ橋群は1936年から1955年にかけて造られ、大きなものだけで15橋梁造られ、これらは北海道で始めて造られた。アーチの大きさは10Mであるが第三音更川橋梁は32Mのアーチが作られ、当時は日本の鉄道用のアーチとしては大きくこの成功によって日本各地でこのような橋が作られるようになった。
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(1)国道273号三国峠から三股盆地を望む感動的な景色。 どこまでも続く原生林、この森林資源を求めて士幌線の線路は延びた。
(2)十勝三股から見る大雪山連峰

 国道273号を大雪ダムから三国峠に向けて走る。朝の柔らかな日差しが大雪ダムの湖面に木々を映していた。
三国峠では、三股盆地と、その周りの山々がとても幻想的な、「日本にもこんなところがあるんだ!!」って景色に遭遇できる。そんな原生林の中を三股に向け走る。途中野生の鹿に何度か遭遇するので、スピードの出し過ぎは注意が必要である。
  十勝三股駅跡の周辺は1、2件の家が存在するも、駅の跡は全くわからない。たぶん駅があったであろう場所はルピナス群生地になっていた。
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(3)十勝三股を基点とした音更森林鉄道の修理庫が残っていた
(4)鉄道輸送からバス輸送に切り替わった際に出来た十勝三股駅待合所。駅という字を消してある。
 
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(5)十勝三股駅前?に残る「館内医院」の看板。帯広方面にあった医院と記憶しているが・・・

 十勝三股から南下し北海道開発局幌加除雪ステーションの手前に500mくらいのところに第五音更川橋梁がある。音更川をまたぐところのアーチは広い。
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(6)第五音更川橋梁(1938) 10m+23m+10m×6 国道滝の沢橋から眺める。木々の生長で左側のアーチがわかりにくい。

 十勝三股の次駅となる幌加駅跡は、北海道開発局幌加除雪ステーションの横にある。こちらは民家らしきものの基礎が何点か残る無人地帯である。 駅跡は草木に飲み込まれていた。
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(7) 幌加駅跡に残る分岐。奥にはホームが残る。 ホーム跡に行こうとしたら線路上にヘビがいたため、 行くのをためらった。
(8)幌加駅は東側に駅舎があった。今となっては何を撮影したのか分らないが、おそらく駅舎があった辺りのコンクリート?

 幌加から南下して、丸山橋を渡る手前で糠平三股林道に入る。林道と士幌線跡と交差する地点の北側には、音更トンネルがある。
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(9)音更トンネルは、大雪山山麓の凍土に建設された。温暖化の今も凍土なのかな?
(10)森の中に一直線に伸びる廃線跡。並行する林道がブラインドカーブの山道だが、こちらは直線的で整備されれば走りやすいであろう。

 対向車がきたらすれ違えないダートのワインディングが続き、まっすぐなダート(たぶんダムが出来る前の士幌線の跡)をしばらく走ると空地現れる。 空地から林道はカーブしているが、まっすぐな道の正面だけれども、一瞬見落としそうなエアロパーツなんかついている車じゃまず無理なほど道が悪いダート道を300mくらい行く。すると正面には幻の橋タウシュベツ橋梁が現れる。
 釣りにきた車がいなければ、この道を僕はすぐには気付かなかったであろう。
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(11)林道から分岐するタウシュベツ川橋梁へ続く線路跡の道。タウシュベツ川橋梁側から来た道を撮影。2001年訪問時は車も通ることが出来た。

 幻の橋タウシュベツ川橋梁…。糠平ダムができる前の士幌線旧線の橋である。 幻の橋といわれるのかというとダムの水かさが増える6月頃から湖面に沈んでいき、水かさの減る1月頃から凍結した湖面に再び姿を現すことからである。要はダムにいつもは沈んでいるのである。
 厳寒の冬は凍った湖面を歩いて行くことが出来るだろうが、ちょっと行きづらいであろう。

 橋の手前には4台くらいのRV車が止まっていた。朝の7時くらいの時間である。どうやらここは釣りのポイントらしい。 とにかくこの橋を見たくてここまで来たのだからなんだか嬉しかった。橋を眺めていると向こう岸に人がいるのが見えた。橋を渡って対岸へ行ったのか?それともタウシュベツ川を徒歩で渡河したのか?
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(12)古代ローマの水道橋のような佇まい。間近で見られたことに大満足
(13)タウシュベツ川から綺麗な11連アーチの幻の橋を見る。 橋が上り勾配になっているのがわかる。

 対岸に行くに川の流れが少ない部分を苦労して向こう岸にジャンプして渡ったが、ふと橋を見ると釣竿を持った人が橋を渡っていた。「なんだ、安全に橋渡れるんだ〜」ってジャンプしたあと嘆いた。拳よりひと回り大きい石の河原のため足場の悪いのでたまにズルズル滑ってカメラに気を使う。
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(14)ずっと佇んで眺めていたタウシュベツ川橋梁。タウシュベツ川橋梁(1937)10m×11
(15)石狩岳とアーチ橋。周りの景色に溶け込んで違和感が全く無い。 左端の木の下にあるのは車である。

ぐるっと湖の縁を歩いて大雪山連峰と廃橋という絶景。そして橋を渡って、車の元へ戻ることとする。
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(16)橋は長い月日、湖面に沈み、冬は氷雪に包まれる為にコンクリートが削れ、基礎となる鉄筋が見える。
(17)橋の上から下流方向を見る。

 橋渡り、これがスリルがちょっとあって楽しい。高いところが苦手な人はちょっと無理だけれど。
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(18)橋の上の砂利は、士幌線建設当時の砂利が残っているのだろうか?

 橋を渡った後は、のんびり周りの景色を楽しみながら昨日の夕方留辺蕊のコンビニで買ったパン(朝食)を食べた。1時間ちょっと滞在しただろうか?
 そして、この場所を後にし、
国道273号に戻り、糠平方面に車を走らせた。

国道から三の沢橋をみて糠平市街へ入る。
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(19)三の沢橋梁 (1955) 10m+15m+10m   川の流れは少ない。

 糠平の市街はとても小さい。ここにもアーチ橋があるが、どこにあるかよくわからない。とりあえず車を止めて探すも、道路の橋の跡らしいものはあったが、アーチ橋は見つからない。車を走らせてまた止めて探すことを繰り返す。
 散策路に指定されているがけもの道?って疑うくらいの道が森の中にあり、蕗を掻き分け突き進む。 するとジャングルの中にある古代遺跡を彷彿させるシチュエーションにアーチ橋が眠っていた。橋の上に行ってみると奥ににトンネルがあった。
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(20) 糠平川橋梁 (1955) 15m×3+10m 鬱蒼とした木々の中にある古代遺跡のようなアーチ橋。
(21)路盤の先にトンネルが見えた

 この後は、上士幌町鉄道資料館に行く。100円払い中に入る。土曜日の朝9時に入館するのが珍しいのか、館内のおばちゃんが話かけてくる。橋を見にきたことを告げると、いろいろと橋のことを教えてくれた。また、コーヒーをいただいた。
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(22)国道から不二川橋梁の橋脚と、国道旧道の橋を見ることが出来た。
(23)ぱっと見全く分らないでしょうが、第二音更川橋梁を旧国道からみたところ。

 最後に国道泉翠橋の下方に第三音更橋梁がある。アーチ間隔が大きくとても綺麗だった。
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(24)第三音更橋梁 (1936) 10m×2+32m+10m
(25)橋の上に生える幼木が廃止されてからの時の流れを伝えている。

 見落としている点もあるが、橋めぐりはこれで終わりである。
 第三音更橋梁から少し行った所に、かつては発電にかかわった人が沢山いた現在無人の地、黒石平がある。広い空き地に「黒石平の碑」が建っている。小学校とかもあったらしい。そしてこの地に「糠平電力館」という資料館があったはずだが、跡形もなくなっていた。雪深い無人の地で電力館のみの建物を管理するのは大変だろうしね〜。

これらの橋の詳しいことは、ひがし大雪アーチ橋友の会に紹介されている。


幻の橋を見に行こう!!(東大雪アーチ橋群)
続 幻の橋を見に行こう!!(タウシュベツ川橋梁の水位変化)
東大雪アーチ橋 タウシュベツ川橋梁以外


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